前回、原付二種スクーターのアドレス125(DT11A)のフロントタイヤを交換しました。
しかし、自前の道具ではビードが上がりませんでした。
そこで今回のリアタイヤの交換にて再挑戦。その模様をお伝えします。
小石健と申します。YouTubeチャンネルはこちら。
リアタイヤをパンクさせた
今回の内容はYouTubeに動画もアップしているので、よければこちらもご覧ください。
昨夏(2023年)のUber Eats の配達時にリアタイヤをパンクさせてしまいました。
走行中に「パァンッ」と大きな音がして、一瞬スナイパーに撃たれたかと思いました。
そのときの状態は、スリップサインはおろか溝さえ消滅していました。
釘が刺さったり何かにぶつかったりしたわけではなく、擦り減らし過ぎての破裂です。
Uber Eats はピックアップに向かう途中だったのでキャンセル。最寄りのバイク屋まで押し歩きました。
暑さで死ぬかと思った…
幸いその日のうちにタイヤ交換してもらうことができましたが、交換を面倒臭がっていると事故を起こす危険があります。
どの口で言ってるんだ、という話ですが。
リアタイヤを購入
それから約7か月後、スリップサインが表面に現れたところでの交換というわけです。
アドレスの走行距離は56989km。前回のフロントタイヤ同様、初めての自力作業となります。
購入したのはフロントタイヤと同じくダンロップの「D307」。
アドレス125(DT11A)のリアタイヤのサイズは「100/90-10 56J」なので、購入時は注意が必要です。
マフラーを取り外す
リアタイヤを交換するにはマフラーを取り外さなければなりません。
アドレス125(DT11A)のサービスマニュアルによると、シート下のヘルメットボックスを取り外して「O₂センサリードワイヤカプラ」を外す必要があるそうですが、面倒臭いので今回はマフラー本体のみを取り外しました。
ヘルメットボックスの取り外しは下の記事をご参照ください。
平地にセンタースタンドを立てたら、まずマフラー先端と車両底面を接続しているエキゾーストパイプナット2本(10mm)を取り外します(下図矢印部分)。
このナットはエクステンションバーがないとソケットが届かないため、新たに下のものを購入。
長さ15cmのバーが妥当でした。
ちなみにソケットレンチは例により下の物を使用しました。
次にマフラーサポートボルト2本(14mm)を取り外します(上図赤丸)。
取り外したマフラーは段ボール箱に安置しました。
マフラー先端にはワイヤーが接続されているため、その範囲内に置いておく必要があります。
また、ガスケット(下図矢印)は再利用不可ですが、この位置からでは交換することはできませんでした。
ワイヤーが傷つかないか心配だしガスケットは交換できないしで、結局ワイヤーも外した方がいいと思いました。
ホイールを取り外す
ホイールを取り外しますが、その前にリアブレーキのレバーを結束バンドで固定して、ブレーキをかけた状態にします。
さらにサイドスタンドを立て、リアタイヤが地面と接するようにします。
ホイールが動かないようにします。
この状態でアクスルナット(22㎜)を反時計回りで取り外します。
といっても、私はレンチを足で踏んでようやくナットを回すことができました。
アクスルナットも再使用不可です。
次にワッシャを取り外します。
リアブレーキレバーの結束バンドを外し、センタースタンドを立てます。
これでやっとホイールが外れる。
…と思いきや、タイヤにフェンダーがつっかえて外れません。タイヤの空気を抜いてもダメでした。
そのため、フェンダーのネジもプラスドライバーで取り外しました。
あとはフェンダーをずらして、ホイールをシャフトから引き抜けば取り外すことができます。
タイヤを交換する
次にタイヤを交換しますが、手順はフロントタイヤと同じなので、詳細は前回記事をご参照ください。
作業の概要は以下のとおりです。
- 空気を抜く
- ビードを落とす
- タイヤを取り外す
- エアバルブを交換する
- タイヤを取り付ける
今回もエアバルブを交換しました。
タイヤの脱着は前回のフロントタイヤでコツをつかんだと思いきや、リアタイヤの方がサイズが小さいせいか、やはり苦戦しました。
タイヤレバーのみを使ったためホイールに傷がついてしまいましたが、リムガードも使う余裕がないように感じました。
タイヤのビードを上げる
最大の懸念はタイヤのビード上げです。
今回は事前に数日間ビール瓶を仕込んでおきました。
コロナビールの瓶がちょうど4本入りました。
前回のフロントタイヤでは、ビード部から空気が漏れたため失敗しました。
ビードとホイールの間を少しでも狭めようというつもりでしたが、結局ビール瓶の効果は不明。
それはともかく、とりあえず手動のポンプだけで空気が入るか試しました。
案の定、ビード部から空気が漏れてピクリともしません。
これでは前回のようにラッシングベルトで締めても二の舞だろうと思い、見切りをつけて別の策を取ることにしました。
手動のポンプは体力が削られます。
フロントタイヤから空気を注入します。
使用するのは両端を口金に改造したホースです。
私は下の口金付きホースを2つ購入。
一方の口金を外してもう一方のホースにつなげるだけで簡単に作ることができました。
空気を移す手順は以下のとおりです。
- フロントタイヤに空気を入れる(だいたい300kPa)
- リアタイヤのエアバルブに口金を装着(バルブコアは外す)
- フロントタイヤにもう一方の口金を装着
最初は空気が漏れて失敗しましたが、2度目で無事ビードが上がりました。
空気圧が勝ったようです。
ちなみにフロントタイヤのバルブコアはつけたままでいけました。
あとは両方のタイヤの空気圧を調整します。
フロント:150kPa | リア:200kPa |
空気圧の調整については下の記事をご参照ください。
念のため、リアタイヤのビード部とエアバルブに食器用洗剤を混ぜた水を吹きかけて空気漏れがないか確認しました。
問題なければきれいに拭いて、ホイールを取り付けます。
ホイールを取り付ける
ホイールの取り付けは、だいたい取り外しと逆の手順で行います。
- ホイールの穴をシャフトに挿入する
- ワッシャを取り付ける(表裏をチェック)
- 新品のアクスルナットを仮締めする
- フェンダーのネジを締める
- リアブレーキレバーを固定する
- サイドスタンドを立てる
- アクスルナットを本締めする
アクスルナット(22mm)の締め付けトルクは120N・mです。
なお、これだけのために新たにトルクレンチとソケットを購入しました。
どの作業においてもそうですが、初めての場合は交換部品以外の出費もかかってしまうのがネックです。
マフラーを取り付ける
ブレーキレバーの結束バンドを外し、センタースタンドを立てたら、マフラーを取り付けます。
まずマフラー先端(下図矢印部分)の穴2つを車両底面のボルトに挿し込みます。
次にマフラーサポートボルト2本(上図赤丸)を仮締めしてマフラーの位置を安定させます。
これで両手の自由が利きます。
そして、マフラー先端のナット2個(10mm)を10N・mで締め付けます。
これには下のトルクレンチと前述のエクステンションバーを使いました。
あれこれ整備に手を出すと、日常使わない道具がやたらと増えるのもネックです。
あとはマフラーサポートボルト2本(14mm)を50N・mで本締めします。
最後にブレーキレバーの結束バンドを外し、タイヤを回してブレーキが作動するか点検します。
異常がなければ作業完了です。
まとめ
今回はすべて自力で交換することができ、前回のフロントタイヤのリベンジを果たすことができました。
前回からいろいろ試したビード上げは、もう一方のタイヤから空気を注入するのが最もラクでした(というかそれしか成功していない)。
問題はリアタイヤからフロントタイヤへの「移植」は可能か、ということですが、また機会があれば試すつもりです。
あとタイヤ交換はかなり力を要するので、熱中症になるおそれがある夏は避けた方がいいかと思います。
作業を開始したとたんに後悔するはずです。
夏以外に自力で交換、もしくはプロに任せた方が無難です。
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